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国公立医学部は格付けが偏差値・難易度に影響?

2021.01.04

大学受験の中で最難関と言われる医学部。受ける医学部を決めるときは自分の学力に合った医学部を探しますが、特に国公立医学部の格付にも目を向ける必要があります。理由は、格が高い医学部ほど研究環境が充実していることと、関連病院が多いので卒業後も何かと有利になるからです。

そこで今回は、医学部選びをする際の参考になるよう、全国の国公立大学の歴史と格付けを簡潔に説明し、各医学部の偏差値も紹介しています。

医学部の格付け一覧

日本の大学は、開校の目的や設立された時代によって4つのカテゴリーに分けられます。国公立大学で医学部のある大学は全国に50校(国立42校+公立8校)、それに防衛省所管の防衛医科大学校を加えて51校あり、下記のように区分されています。

1.旧帝国大学(旧7帝大)

江戸幕府の洋学研究所「蕃書調所」を前身とする「東京開成学校」と、「医学所」を前身とする「東京医学校」が明治10年に合併して「東京大学」が発足。明治19年に帝国大学令によって「東京帝国大学」に改称されました。

その後、同令により昭和の戦前にかけて、「大日本帝国の最高学府および研究機関」として、内地に7校の医学部が設立されました。

戦後は「帝国大学」の名称を廃し「国立総合大学」と改められましたが、今もこれらの大学は「旧帝国大学(旧7帝大)」と呼ばれています。

旧帝国大学(旧7帝大)
東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学

2.旧制医科大学

戦前から地域医療を担う機関として設立された官立(国立)医科専門学校群のこと。旧7帝大に次いで歴史と伝統のある大学で「旧6医大」とも呼ばれています。

京都府立医科大学は、住職たちが発起人となって寺院の中に設立した京都療病院が前身で、明治36年に京都府立医学専門学校となりました。

いずれも大正10年(1921年)ごろに医科大学に昇格。京都府立医科大学は、帝国大学に吸収されずに現存している唯一の旧制公立医科大学です。

旧制医科大学
国立 千葉大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、長崎大学、熊本大学
公立 京都府立医科大学

3.旧制医学専門学校(旧医専)

昭和15年(1940年代)ごろから戦地で軍医不足が深刻な状況になり、日本各地に4年制の医学専門学校が新設されることに。男性医師は軍医として徴兵されるため、女性医師を養成する医学専門学校(医専)が多く設立され、これによって国公立男子医専が19校、公立女子医専が7校となりました。

戦後になると医専は大学と一本化されて旧制医科大学に昇格し、その後の学制改革によって新制大学に移行。空襲で焼失して廃校になったところもあり、現在、旧医専と呼ばれる国公立大学は下記の19校です。

国立大学のうち、弘前、群馬、東京医科歯科、信州、鳥取、広島、徳島、鹿児島の8校は「新8医科大学(新8・8医大)」と呼ばれています。

旧制医学専門学校(旧医専)
国立 弘前大学、群馬大学、東京医科歯科大学、信州大学、岐阜大学、三重大学、神戸大学、鳥取大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鹿児島大学 
公立 札幌医科大学、福島県立医科大学、横浜市立大学、名古屋市立大学、大阪市立大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学

4.新設医科大学

昭和36年に国民皆(かい)保険制度が確立し、すべての国民が一定の自己負担で診療を受けられるようになったことで医師不足が予測されました。高度成長期でもあり医学部新設が促進され、まず私立医大の建設ラッシュが始まりました。

昭和48年になると「一県一医大構想」が閣議決定され、それまで医科大学や医学部がなかった15道県に国立の大学医学部が整備されることに。同時期に防衛庁所管の防衛医科大学校も設立されています。

昭和55年ごろになると医師過剰が懸念されるようになり、昭和56年の琉球大学医学部設置が最後となっています。

新設大学医学部
国立 旭川医科大学、秋田大学、山形大学、筑波大学、富山大学、福井大学、山梨大学、浜松医科大学、滋賀医科大学、島根大学、香川大学、愛媛大学、高知大学、佐賀大学、大分大学、宮崎大学、琉球大学
防衛省 防衛医科大学校

歴史が古い大学ほど格上になる

東大をはじめとする旧帝大の特長として、国から支給される運営交付金が高額なので、恵まれた研究環境で学修できることがあげられます。

旧帝大が高額な運営交付金をもらえるのは、大学の歴史と規模、研究成果、医療業界への貢献度など複合的に評価されてのことです。つまり、それだけ優秀な研究者(教授)が多く在籍しているということ。最新の設備と高度な教育を受けられる格上の大学には、全国からトップクラスの秀才が集まってくるため、偏差値も高くなります。

国公立大学医学部の偏差値ランキング【2021年】

各大学の偏差値は河合塾や駿台、東進など模試を実施している大手予備校がランキングを公開していますが、ここではサンプル数が多く実態にいちばん近いと定評のある河合塾の医学部偏差値ランキングを紹介します。

河合塾の医学部偏差値ランキングは、合格者の偏差値の平均(平均偏差値)ではなく、ボーダー偏差値(合格者と不合格の比率が半々になる偏差値)を設定し、2.5ポイント刻みの偏差値帯で表示しています。たとえば、60.0なら60.0~62.4まで、62.5なら62.5~64.9までの偏差値を意味します。

※後期日程の募集している医学部もありますが、後期の偏差値は省略します。

国公立大学医学部偏差値ランキング

順位 大学名 前期
1 東京大学 72.5
2 東京医科歯大学 70.0
2 京都大学 70.0
2 大阪大学 70.0
5 山梨大学 70.0
6 北海道大学 67.5
6 東北大学 67.5
6 千葉大学 67.5
6 横浜市立大学 67.5
6 岐阜大学 67.5
6 名古屋大学 67.5
6 神戸大学 67.5
6 奈良県立医科大学 67.5
6 九州大学 67.5
6 宮崎大学 67.5
7 旭川医科大学 65.0
7 弘前大学 65.0
7 秋田大学 65.0
7 筑波大学 65.0
7 群馬大学 65.0
7 新潟大学 65.0
7 信州大学 65.0
7 金沢大学 65.0
7 福井大学 65.0
7 浜松医科大学 65.0
7 名古屋市立大学 65.0
7 滋賀医科大学 65.0
7 京都府立医科大学 65.0
7 大阪市立大学 65.0
7 和歌山県立大学 65.0
7 島根大学 65.0
7 岡山大学 65.0
7 広島大学 65.0
7 山口大学 65.0
7 愛媛大学 65.0
7 佐賀大学 65.0
7 長崎大学 65.0
7 熊本大学 65.0
7 大分大学 65.0
7 鹿児島大学 65.0
7 琉球大学 65.0
8 札幌医科大学 62.5
8 山形大学 62.5
8 福島県立医科大学 62.5
8 富山大学 62.5
8 三重大学 62.5
8 鳥取大学 62.5
8 香川大学 62.5
8 高知大学 62.5
9 徳島大学 60.0

参考:河合塾「医学部入試情報2021」 2020年6月掲載

格付けが低い医大は入試偏差値が下がり合格しやすい?

偏差値ランキングから分かるように、立地の良いに首都圏周辺にキャンパスがある医学部は偏差値が高く、難易度も上がります。たとえば、東京医科歯科大学は、格付けでは旧帝大より下位の旧専ですが、偏差値では旧帝大と肩を並べています。

また、国公立大学医学部の偏差値65は早稲田や慶応の理工学部とほぼ同レベルといわれます。昔は旧帝大以外は偏差値が低めで入りやすい医学部もありましたが、現在は早慶理工学部合格レベルの偏差値でなければどの医学部にも入るのが困難です。そういう意味でも格下だから偏差値が下がるとは言えません。

共通テスト(旧センター試験)対策は基礎学力をつけることが第一

偏差値が低くても医学部を受けて逆転合格を果たす人がいます。そういう人は質の良い学習法で基礎学力をしっかり身につけているのです。

国公立大学は共通テスト(センター試験は2020年で廃止)が必須です。出題は大学によって異なりますが6教科7科目が一般的。理系が得意だから数学と理科で点数を稼ごうとするのではなく、国語や地歴・公民、英語と全科目をバランスよく勉強して総合点で勝負しなければなりません。

国公立大学医学部に短期合格を目指すなら、とにかく基礎学力をつけること。難しい問題にむやみに取り組んでも偏差値アップは望めません。志望大学の過去問を解くことも重要ですが、全科目の基礎学力をつけたうえで取り組むことをおすすめします。

プロフィール

全集中

全集中

某地方医学部の4回生です。大変な時期です。将来不安です。僕自身が英語が苦手だったので、英語が苦手な人でも医学の道に進める手助けになればと思っています。

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